2017年1月28日土曜日

*素材の話 自凝雫塩(おのころしずくしお)*

食材のマニアックな話を。本日もお時間があって、こういうのが大好きな方のみお読みくださると幸いです。
月齢20を過ぎたので、旅に出ようと意気込んで、島根県への旅を企画していたところ、まさかの大雪。
丹波に缶詰の数日を過ごしておりました店主塚本ですが、雪も山場を越えたということで、居ても立ってもいられなくて、南下することにいたしました。
目指すは、以前、島の食卓(https://www.facebook.com/organicawaji/)で出会った塩、淡路島五色の海塩です。
ご亭主の末澤さんが、少し話をしただけだったのに、恐る恐る電話をしたら、覚えていてくださって、すぐに会いに行くことができました。
自凝雫塩(おのころしずくしお)
http://hamashizuku.com/
こちらの塩炊き小屋があるのは淡路島の西海岸、五色。その日の海は驚くほどに澄み切って海底が見渡せるほどでした。
末澤さんがおっしゃるには、今日みたいに凪いでいる海はこの季節では珍しい。本当にいい日に来たよ。と。
木々の間から現れた、美しすぎる海に胸が高まります。
振り返った末澤さんの青のつなぎが、輝く海に映えます。
早速塩炊きの現場を案内してもらったのですが、対面した釜の存在感。話を聞く前から、しびれてしまいました。かっこいい。。。
こちらの塩はこの海でとれた海水だけで作られています。心から安心して使える理由の一つに、海水は一度逆浸透膜という特別なろ過装置を使用して微細なプラスチック等の海のゴミを取り除いています。
この濾過法は、海水を真水にかえるイオン交換膜とは性質が異なり、あくまで海水中のミネラル分はそのまま残り、ゴミが取り除かれるのが素晴らしいところ。
よく考えると、瀬戸内工業地帯や神戸大阪にほど近い海ですから、悲しいですが、海には人間が出した人工物があるのですね。
それを大きな鉄なべで焚いていきます。当然鉄なので、塩で錆びていく。最近ではステンレスの釜で焚いているところが多いそうですが、昔ながらの製法で、熱伝導のよい鉄釜を使い続けているのです。
当然、釜の寿命は短い。でも、その釜の肌についた錆び、塩の結晶が、とにかく美しいのです。赤褐色にただれたところに、鍾乳洞のように垂れ下がる塩は、少しなめると歯にしみるような、鉄の味。
この鉄分も含めて自凝雫塩は出来上がっているのかもしれません。
出来上がったばかりの塩の華、フルールドセルと呼ばれる大きな塩の結晶を食べてみると、塩辛さよりも甘さを強く感じます。
薪を使って、火加減をその日の海水の状態に合わせて変化させ、仕上げ段階ではごく弱火でゆっくりと大きな結晶を作っていく様は、職人そのもので、この体力仕事と繊細さの両方を併せ持った仕事にすっかり感服してしまいます。
海水が塩になるまで、火を炊く時間は、だいたい40時間とのこと。始めた頃はね、40時間付きっ切りでやっていたんだけど、さすがに体を壊しかけてね、今は寝る時間を確保しているよ。と笑う末澤さんが、これまたかっこいいのです。
もともと、寿司職人だったという末澤さん。お客様のアレルギーがもとで、食べ物という人間が生きる源を作っている仕事をより深く考えられるようになったそうで、いきついたところが塩。
だからこそ、こだわりがすばらしく、時間をかけて作り上げられた塩は、個性が立ちすぎることがなく、食材そのもののおいしさを引き出す優しく澄んだ塩。なんせ、きちんとしょっぱい。
この塩はね、釜で炊き上げた後、杉樽で熟成をかけるんです。それって、塩の作り方では普通のことなのでしょうか。私は初めて聞きました。一日寝かせている間に、にがりの中のミネラル分と塩がなじんでまろやかで美味しい塩に仕上がるんだそうです。
夏には、この雄大な海の真ん中に真っ赤に沈みゆく夕日を眺めながら、バーベキューをしよう!そんな楽しい約束をしてこの日は別れたのでした。
さて、これで小麦、粉、塩、卵、牛乳、蜂蜜がそろいました。オール兵庫のパン。何を作ろうか、今からワクワクしています。
取り急ぎ、ふるいにかけて、別に取られる大粒の塩をお土産にいただいてまいりましたので、これを使ったパンをやります。
お楽しみに。
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