2016年5月11日水曜日

*旅 2016年5月 島根県はんだ牛蒡 後編*

2016年5月の島根県はんだ牛蒡への旅のレポートです。出会いから、この牛蒡の魅力は前編にて報告しております。
ぜひ、ご覧ください。
後編です。
〈草抜き体験〉
さて、ここからが、体験レポート。
とりあえず、結果から。
やってみて残ったものは、悟りの境地と筋肉痛。
私がやらせてもらったのは、春に蒔いた牛蒡の芽の間に生える、小さな雑草たちを抜く作業。
写真の1枚目のようなかわいい小さな葉が、広々とした畑に整列しています。たぶん、1列の長さは50メートルくらいはあるでしょうか。それが、何列も何十列も続いています。
ではどうやって雑草を抜いていくのでしょうか。
答えは、簡単。一つ一つ指先でつまんでいくのみ!!!
なおかつ、大事なことには、牛蒡が気持ちよく伸びられるように、地面はふかふかにしてあるので、そのふかふかを維持するために、人間が歩けるのは、列と列の間の30センチのみ。
さっそく始めてみました。作業自体は、とても簡単ですし、ある意味誰でもできる作業です。
ところが、これは誰でもできるものではないということに、15分後には気が付くことになります。
牛蒡の小さな芽は、まだまだ弱いので、そっと指でどかして、その間にあるこれまた小さな草を指先で一つ一つ除いていきます。そして、体の体制は、固定。中学校時代に部活でやった、アヒル歩きというトレーニングを思い出します。
これはつらい。足がとにかくしびれ、強いさえぎるもののない日差しに、じりじりと背中が焼かれていきます。
ただ、続けていくうちに気が付いたことには、不思議なことに、元気そうな苗には、決まって寄り添うように雑草が生えていること。これはその土地のパワーがいいのか、牛蒡と雑草が何かの相互作用をしているのか、私にはまだわかりませんでした。
また、生える草にも性格があるということ。簡単に根こそぎ抜けるものもあれば、少し土の中まで指を入れたほうが抜けるもの、引っ張る方向が大事なものまで、いろいろありました。
なんて、一列目をやっているときにはそんな考察を得られたのですが、、、なんと一列やるのに、3時間かかりました。。。
最終的に3列やらせてもらったのですが、最後の一列で考えていたことは、人生論でした。さて、この列をやり遂げた時に見えるものは何だろう、と。
道の途中で前を向くと、まだまだ果てしなく長いゴールまでの道のりが、心を折らせようとしてきます。
そういう時は、これまでやってきた道のりさえも、振り返ると、なんだまだたったのこれだけかと、とてつもなくちっぽけに見えてくるのです。
そして、最終的にたどり着いたのが、無我の境地。その一本の草に意識を集中して、それを抜く。それだけに集中していきました。
さて、ゴールにたどり着いたとき、何を感じたのでしょうか。
終わったー!!という達成感?
もっとやれる。という向上心?
もうだめだー。というギブアップ?
どれも不正解。
あったのは、あ、終わったんや、という事実だけでした。
その一本を抜くことだけに集中していると、終わりは突然にやって来ます。
あれ?次の牛蒡の苗がない。ん?ということは終わり??ってな具合です。
で、そっと立ち上がって、あ、終わったわ。って。
なぜか、車へ戻る数分間の間、きっと人間の生もそういうものなんだろうということを考えました。死というゴールの先に何があるのか、なんて不安や葛藤やそれまでにどうしたい、こうしたい、なんて思うけれども、死んだときに思うのは、あ、終わった。という事実だけなんだろうなぁと。
だから、きっと今の一瞬に集中するしかないのです。私は結局、パンを日々焼くということを続けるしかないのだなぁと妙に冷静に思ったのでした。
が、実は終わっていなかったのです。車で家についてみて、降りたときに初めて気が付いたことには、まっすぐ歩けない。。。これが強烈な筋肉痛であるということに気が付くのに数十秒。
なぜかつま先立ちが一番楽な姿勢という、謎の状況にへらへらしてしまう現在です。
とにかく、これを何回も繰り返すことを当たり前のこととして続けていらっしゃる反田ご夫妻の愛情に脱帽です。尊敬とはこういう時に使う言葉です。
〈ヒヨリブロートのパンになるまで〉
2枚目の写真が冬にビニールハウスを使用して植えていた牛蒡たちです。ちょっとサトイモに似た大きな葉が特徴的ですね。
この牛蒡たちが収穫され始めるのが8月だそうで、ヒヨリブロートのパンとなってお目見えするのは9月頃を想像中です。
どんなパンになるのかって???それは、まだまだ先のお楽しみ。
出来上がった牛蒡を食べてみて、その時のインスピレーションでパンを生み出したいと思っています。
こうご期待。
〈スペシャルサンクス〉
反田家の皆さま
3日間に渡り、宿泊、おいしい食事、そして興味深い話の数々。
ありがとうございました。サトイモコロッケの味が忘れられず、息子さんたちとの触れ合いが興味深く、古民家での生活に大いなる刺激をいただきました。
どうか、また伺わせてください。
はんだ牛蒡のホームページはこちら!!!
http://handa-shizensaibai.jp/index.php

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