2016年5月10日火曜日

*旅 2016年5月 島根県はんだ牛蒡 前編*

ヒヨリブロートのコンセプトの一つが旅。
旅をして、生産者に会いに行って、その食材を使ってご馳走のパンを作る。
そのため、1カ月のうちの営業日は新月から満月を超えて5日間までの20日。あとの10日は旅に出て、生産者に会いに行きます。
まだ、お店の営業は始まっておりませんが、5月も旅に出てまいりました。
たくさんの出会いがありましたが、そのうちの一つ。最大の目的であった、自然栽培でごぼうをつくられている、反田ご夫妻のもとでの体験レポートを。
〈出会い〉
昨年の11月のことだったと記憶しています。島根県江津のこれまたすばらしいカフェ「風のえんがわ」に、訪れた際のことでした。
ちょうど、その頃から私の中での農業に対する興味関心が高まり、農家の仕事を見たい、体験したいと渇望していたその時でした。
そのカフェに、反田さんがちょうど訪れたのです。そこで、風のえんがわの店主と、島根でパン屋を営む友人と、一気に話がもりあがり、ゆくゆく、研修に伺いたいとお願いをしてその場を終えました。
そこから半年。ついにその機会がやってきたのです。
〈こだわり〉
はんだ牛蒡の最大のこだわりは、やはり自然栽培。
さて、自然栽培とは何なのか。
私が理解できた範囲ですが、ちょっと紹介してみます。
とても簡単に言うと、人工的に肥料、農薬を一切使わない農法です。肥料は、化学肥料だろうと、有機肥料だろうと、一切使いません。
つまりは、人為的に養殖ではなく、野生のごぼうを作るというのが一番イメージに近いです。
野生ですから、人間が餌をやることはしません。ですが、自然界で得られているような餌を、自然界で得られるような量、つまりは生きていくのにぎりぎりな質と量だけあげるのです。
では、どんな風に?
自然界では、どのように地面は養分を蓄えているのでしょうか。木から落ちた葉が、そこを通った生き物の糞が、虫や動物の死骸が、地表で朽ち果てて、その後、土に戻っていきます。
枯れ、朽ち果てたもの以外は、土に戻ることはない。これが一つのキーワードです。
反田さんの畑では、麦の種をまき、それを刈り、粉砕して、枯れた後に地面にすきこむという途方もない時間をかけて、土づくりをされていました。
農薬も肥料も使わないとなると、ほっておくだけでいいのかなぁと思ったら、大間違い。人間でいえば、薬も栄養ドリンクも使わずに、粗食で、よい肉体を作るということですから、どれだけ規則正しく、適度に体を動かし、健康的な生活を送るか、ということになりますから、想像の何倍もの気遣い、手間が必要になってくるのです。
〈はんだ牛蒡の魅力〉
では、自然栽培で育てた牛蒡の底力は何でしょうか?
まず、はんだ牛蒡は生でも食べられるほどに甘いのです。不思議なことに、変な雑味はまったくありません。私は、生で食べられる牛蒡に初めて出会った。
そして、太く、長い。それはそれは見事で、5センチほどの太さがあるものまであるのです。長さは1メートル30センチくらいはあるのではと思われます。
そして、そして、最大の魅力は、生命力が強いということ。
みなさん、冷蔵庫で野菜が溶けて水になっていった経験はないでしょうか?
実は、反田さんもその昔、有機肥料をたくさん使った農法をされていたんだそうです。で、ある日、牛蒡は収穫してから3か月後がオリゴ糖がのってきて、おいしくなるということを知りました。
ところが、その当時作られていた牛蒡は3カ月経つころには、水になってしまっていたそうなのです。
あれま。3か月後が一番おいしいって言うのに、自分の牛蒡は3カ月もたない。。。
そして、自然栽培に切り替えられてからの現在、なんと牛蒡は同じように保管してみると1年半たっても、ほとんど変わらない状態なのだそうです。
収穫したのちも、一つ一つの細胞に生命力があるからこそ、それだけ長い期間おいていけるのではないか。
これが反田さんが導き出した一つの答えなんだそうです。
前編はここまで。後編では実際に私が体験させてもらった事を紹介していきます。
また明日お会いしましょう。

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