2016年12月11日日曜日

*パネトーネについて*

気が付けば、パネトーネも完売しておりました。ありがとうございます。
先ほどいくらか追加販売分をアップしましたので、よろしくお願いします。
ここで、私が考えるパネトーネという発酵菓子についてお話ししたいと思います。
とにかく、私は仕込みが苦手で、その昔には師匠にボケだのパネロフだの、、、まぁこれはまた別の話。またの機会にお話ししましょう。
ちょっとマニアックなので、お好きな方だけどうぞ。
まず、パネトーネとは、本来はイタリアのコモ湖沿岸の一地域でのみ育つといわれるパネトーネ菌を使った発酵菓子です。
ですので、実際の私のパネトーネはコモ湖沿岸の菌ではないので、パネトーネではないのですが、、、そうすると、なんて食べ物なんだ??なんて余計に複雑になるので、ここはパネトーネのお名前を拝借して。
なんでも子牛の腸内物質から小麦で培養して作る酵母で、強い酸性でも、糖度がかなり高くても、油脂分がかなり多くても、負けないという特性を持っています。母牛の母乳だけで生活している間にしかない物質のようで、大人の牛にはありません。
そのため、パネトーネはしっかり酸っぱくなるように乳酸菌のバランスをもっていくので、日持ちするようです。もしも、砂糖なしのパネトーネ生地を焼いたら、酸っぱくて食べられないかもしれません。
日本の気候では、どのくらいもつか、、、湿気が多いので、ちょっと不安がありますが。
ちなみに、食べた感じは、スポンジケーキでもない、パンでもない、独特の口どけと軽やかな酸味。まさに菓子でもパンでもないのです。
ヒヨリブロートのパネトーネはヨーグルトとルヴァン種を配合して中種を作り、さらに本捏ねでもヨーグルトで仕込んで発酵バターで仕上げていくという動物性と植物性の乳酸菌の塊のようなパンです。
そこに微量のイーストを添加していますが、これだけの酸味と砂糖とバターが入るので、とにかく時間がかかる。
結果、今のところ、3日かけて発酵させている状況です。
ではね、なぜ私がこんなにも苦手意識があったのでしょう。
それは、グルテンの形成とエマルジョン(乳化)を同時に行っていくから。
パンは当然ながら、グルテンを作ることが仕込みの前提です。
ですので、普通は強い力で生地を捏ねて、パンを作っていきます。
ところが、パネトーネはそれはそれはたっぷりのバターを練り込んでいくため、途中で水中油滴から油中水滴に構造が変化する。この瞬間が難しいのです(私には、、、)。
構造が変化する瞬間の不安定な状態の時に、強い力でミキシングをかければ、グルテンは崩壊し、ムース状の物体に変わってしまいます。こうなると、もう膨らみません。
これはこれで、美味しいんですよ。経験者は語ります。
でもね、なんだか昨日の仕込みではそれがなんだかわかった気がしました。
というのも、昨年、ピルエットという東京虎ノ門ヒルズのレストランにお世話になっていたのですが、その時に、パティシエさんから、チョコレートのテンパリングを習っていたのです。
これも、乳化。
何度パネトーネを仕込んでもわからなかったことが、他の経験から理解につながる。とても貴重な体験だったことに後から気が付きました。
さて、できるような気がしてきたら、欲が出てきます。
今年はヨーグルトとルヴァンで仕込みましたが、、、来年はサワークリームか、クリームエペスか、マスカルポーネでやってみたいなぁ。。。でも、マスカルポーネの酸味がかなり立つまで発酵させるには賞味期限過ぎてしまうし、個人の趣味の領域からでないかもしれませんが、、、。
今年のパネトーネ、なかなかの自信作になりました。
世間ではシュトレンが流行っているけれど、、、やっぱりマイペースな店主でした。
ぜひ、お試しくださいませ。

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